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ブロックチェーンは暗号通貨に特化した技術で、応用はほとんどできないのでは?

最近、ブロックチェーンについていろいろ調べたので、自分なりの理解をまとめておきます。

この2つの記事が、現時点での自分のブロックチェーンに対する理解にとても近いです。 なので、詳細は元記事を参照するとして、以下はそれらを踏まえた自分なりの要約、理解の整理とします。

ビットコインブロックチェーン

結論。ブロックチェーンは現状、ビットコインのような暗号通貨のみに特化した技術で、応用は難しい。

その一方、ビットコインのシステムは、全体として本当にうまい具合に作られていて、よくこんなことを考えついたものだな、という驚きが調べていてありました。 純粋な情報技術だけでなく、人のインセンティブまで考えて、うまくシステムが設計されているからです。 逆に言うと、ビットコインで使われているブロックチェーンは、それだけ特定領域—暗号通貨、第三者機関が不要な送金プラットフォーム—に特化した設計になっていると感じました。

このシステムは、

  • ハッシュでつないだ連結リスト構造のデータベース
  • 中央機関のないパブリックなP2Pネットワーク
  • マイニングと手数料というインセンティブ設計
  • プルーフ・オブ・ワークによるブロック生成時のCPUコスト

などの要素からなり、これらすべてが相互にうまく機能しているからこそ、ブロックチェーンのメリットによく挙げられる

  • 記録に透明性があり、改竄が困難
  • 特定の管理者が不要
  • 二者間での低コストな取引

が実現できています。上記の技術要素の内いずれかでも欠いた場合、これらのメリットは失われます。 たとえば、パブリックなP2Pネットワークを使わない場合、ビットコインが実現しているレベルでの「記録に透明性があり、改竄が困難」は確保できませんし、インセンティブ設計が適切でなければ、そもそもパブリックなP2Pネットワークが維持できません。

このような前提条件をクリアできる領域は、現状、暗号通貨のシステムくらいしかなく、そうではない他の領域でのブロックチェーンは、ビットコインで使われているそれとは似て非なるもので、うたわれるメリットは限定的か、実現不可能なのではないか、という疑問を抱かずにはいられません。

ブロックチェーン技術の利用

今日のシステムにおいては、特定の企業または人物によって管理された中央サーバーによる運用が大多数です。これらのサーバーで動作するブロックチェーン(プライベートブロックチェーン)もありますが、これは環境がパブリックなP2Pネットワークでない以上、前述のように、ビットコインブロックチェーンとは、ほとんど別のモノです。従来の技術—RDBMSAPIを実装したり、デジタル署名による改竄防止—でも同じものが作れます。

このようなプライベートブロックチェーンは、従来のシステムより、構築、運用のコスト削減になるという優位性がある、という意見もあるようです。ただ、個人的にはその点も懐疑的です。

技術要素を冷静に考慮しよう

ビットコインブロックチェーンはひどく限られた条件でのみ有効に作用します。その前提を考慮せず、実体として異なるものをもってきているのに、ブロックチェーンという言葉だけで、それを「ビットコインのベースになっている革新的な技術」として認識すべきでありません。